(ハイパープレイステーション2・9月号に於いて掲載されたものより転載いたしました)

その2・『カメラで霊を写す』とは?

プレイヤーを恐怖に向かわせる、そのためにカメラが必要だった
---そこで『Project 0(仮)』では、いったいどういったコンセプトを
実現しようということになったんですか?
菊地 「ゲームの骨格の部分として、怖いものをプレイヤー自身の目
であえてとらえさせようと考えました」
---そして登場するのが、カメラというアイテムだったんですね?
菊地「そうなんです。プレイヤーには、カメラを使って、
敵である”霊”の恐ろしさにあえて立ち向かってもらいます。
そしてもうひとつ、カメラを使おうと思ったのには理由があって、
昔、写真技術がまだ浸透していない時代の人の話に、
”カメラに魂を吸い取られる”とか”写真を撮られると寿命が縮まる”
というのがありましたよね?それは迷信ではあるんですけど、
カメラというのは、昔からそういった精神的なものと結びついて
いた歴史がある。そこで、その感覚をゲームにいかそうということになったんです」
---それでカメラで霊を写す、という新機軸のシステムが採用されたんですね。
菊地「もともとは『刻命館』シリーズを僕と一緒にやってきて、
『Project 0(仮)』のディレクターをしている柴田という人間から出た企画です。
彼は他に類を見ないホラーマニア。だから怖いものには徹底的にこだわります(笑)」
---菊地さんもホラー好きなんですか?
菊地「僕もやりたいゲームのひとつにホラーがあった人間なんですが……
実は前までは怖いのは苦手で(笑)。人を驚かせるのは好きなんですが、
驚かされるのは苦手です。でも、『Project 0(仮)』をつくってる今では、
一日中、怖いことばかりを考えるようになってしまいました(笑)」
---そこで気になるのが『Project 0(仮)』では果たして
どんな”怖さ”を体験できるのか?だと思うんですが。
菊地「そうですね。怖さにもいろいろあって、例えば辞書にも
様々な表現が書かれていますよね?”ギョッとする”とか”鳥肌が立つ”
とか”身の毛もよだつ”とか。中には『刻命館』シリーズのように、
残虐なものを見たときの怖さもあるし、精神的なプレッシャーによる怖さもあるでしょう」
---そこでいちばん感じさせたい怖さとは?
菊地「立っているだけで、その場にいるだけで怖いという究極の怖さですね。
もちろんゲームですから、プレイヤーはふだんくつろいでいる自分の
部屋の安全な状況の中でプレイするでしょう。でも、ゲームの雰囲気を通じて、
日常生活に入り込んだ霊という存在を通じて、その安心できる空間を
恐怖の空間に変えたい。それが『Project 0(仮)』が目指している怖さです」
---となると、残虐さも、精神的な怖さも、いろいろと用意されていそうですね。
菊地「そうですね。どうユーザーを怖がらせてやろうかと毎日僕らも
一生懸命考えていますから、1シーン1シーンの怖さと共に、
ストーリーの持つじわじわとした恐怖感にも、期待していただいていいと思います」
---では具体的に『Project0(仮)』の内容についてご紹介いただきたいのですが、
ゲームの舞台となるのは氷室邸という屋敷ですね?
菊地「ここは、巨大な古びた武家屋敷。そこに日本家屋にあるべきもの、
特に怖いと思われる部屋やアイテムを詰め込んであります。
この屋敷のある村では次々と変死事件が起きていて……」
---その氷室邸に、主人公である雛咲深紅が訪れることになる。
菊地「変死事件を追っているジャーナリストの兄が村を訪ねるときに、
彼女は霊感で”この村にはよくないことが起きるだろう”ということを察知するんですよ。
そして兄を心配し一緒に村について行き、ふらふらと何かに操られる様に屋敷に
姿を消した兄のあとを追って、氷室邸に入っていくことになります」
---彼女の目的はお兄さんを探しだすことですか?
菊地「キッカケはそうだったんですが……」
---もっとほかの事件が彼女の身にふりかかることになるんですか?
菊地「ここはまだ詳しくお教えできない部分なんですが、
兄が追っていた変死事件の写真で、深紅が霊感で見てしまった
”縄の跡”とか、深紅が使う”母の形見のカメラ”とか、そういうものが……」
---ゲームの目的に深くかかわってくる
菊地「……のかも知れません(笑)」

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