第三夜 7月28日

−−今回は、『零〜刺青の聲〜」に登場するキャラクターについて質問していきたいと思います。

菊地(プロデューサー):はい。零シリーズはキャラクター人気もありますからね。

柴田(ディレクター):裏話なんかもなるべく交えていきたいと思います。

 

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主人公・黒澤怜について
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−−今回の主人公は、前作『零〜紅い蝶』にくらべてずいぶん年齢が上がりましたね。

柴田:そうですね。肌を侵食していく刺青というのがひとつのテーマでしたので、肌
に刺青が似合う女性ということで年齢は高めです。23歳という設定です。刺青の痛
みに耐えるのが絵になる、憂いのあるキャラクターにしました。
怜のキーワードは、「クール」「アダルト」「憂い」です。

菊地:怜の外見はシリアスなホラーに合っていると、かなり好評です。

−−スタイルも大人びてますね。

柴田:でも、そんなに肉感的ではないでしょう? 手足が細いモデル体型ということ
で、線の細さで"零らしさ"を保っていると思いますよ。

菊地:ちょっと露出度が高い気もするが…

柴田:それは、広がっていく刺青を見せる為ですよ! 特に背中が開いたデザインに
なってるんです!

−−そういえば、職業が写真家、というのが、いかにも零らしいですね。

柴田:今回の主人公は、自立した、恋人のいる女性ということで、職業もあります。
現実に生活している家は仕事場も兼ねているので、暗室もあったりします。

菊地:考えてみると、『零〜zero〜』のごく初期の設定では、主人公はカメラマン
だったからね。屋敷に潜って心霊写真を撮っては中で何が起きたか推理していくとい
う感じのゲームだったし。

柴田:その要素が今回は実現してますよ。夢で写した写真を元に、現実で新たな事実
がわかってくるようになってます。
まあ、薄暗い暗室で現像していると、印画紙に写っていないはずの"何か"が浮かび上
がってくる…というのがやりたかったというのもありますが…

−−怜は霊感はあるんですか?

柴田:彼女は霊感はありますけど、霊を見るのは今回が初めてです。なので、前作ま
でとはちがって、霊に逢った時の反応がビビッド、というか一般人に近いんです。
深紅ですと、霊に逢うと息を呑んで固まるような感じだったんですけど、今回は
ちょっと違います。普段はクールなんですけど、霊を見た時には怯える、みたいな
ギャップがだしたかったんです。その演技を見て欲しいですね。

菊地:声優は皆川純子さんです。映像に怖がりながらも熱演していただきました。

柴田:皆川さんというと、『テニスの王子様』のリョーマのイメージがありますが、
普段は怜のようなセクシーボイスですよ。実は皆川さんの収録中にも、ありえない現
象が起こったのですが、そのことについてはまた後日まとめてお話しましょう。

 

 

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雛咲深紅について
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−−今回は、『零〜zero〜』の主人公、深紅も登場しますね。

菊地:そうです。『零〜zero〜』をプレイされた方にはなじみの深い、あの深紅が登
場します。
深紅は、零〜zero〜から2年後の19歳という設定で、怜の家に住み込みの助手に
なってます。

柴田:深紅は、個人的に一番愛着があるキャラクターですからね。霊力があってバト
ルでも強力なので、ゲームの中でもけっこう活躍するし、このゲームの主人公は、も
しかしてこっちかも…

菊地:いやいや、そんなことはない。

柴田:深紅は、あれから普通の女の子として生活していたので、すこし明るいキャラ
になってるんですよ。
助手として現実になじみつつある感じで。

菊地:走る速度も速くなってるし。

柴田:そうですね。今回は移動速度は上がってますね。深紅は身体が小さいので、余
計にスピーディーに感じられるかも。あ、今回は全員ストレスの無いくらいの移動速
度になったと思います。

菊地:服装も、あか抜けたね。

柴田:今回の服装は、『零〜zero〜』の服をアレンジしたものなんですよ。深紅は和
小物集めが趣味という設定で、部屋も和小物でいっぱいだし、インナーも和柄をあし
らったデザインになってます。

菊地:でも…どうしても気になるのは、あの、深紅が寝る時の衣装だけど、これはな
いよ!と思ったよ…

柴田:すいません…深紅の寝るときの衣装は…すべて私の趣味ですので、勘弁してく
ださい。どうしても着せたかったもので…

−−どういう衣装かはゲーム内で見ていただくとして、深紅のキャラクターのキー
ワードは無いんですか?

柴田:深紅はあんまり変わってなんですけど。「和風」「すこしだけ大人びたかわい
さ」あとは「兄さん」ですかね。

菊地:やっぱりそこか…

 

 

 

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天倉螢について
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−−零では男の主人公というのは初ですね。

柴田:前回から「男性主人公を!」という要望があったので、導入しました。
  『零〜紅い蝶〜』の天倉姉妹の母親の弟、つまり叔父である天倉螢です。

菊地:そして深紅の兄、真冬の友人でもある、と。ここですこしつながるんだ。

柴田:男性を出すとどうしても好戦的な感じがでてしまう。霊と殴りあうゲームじゃ
ないので、そういった部分をなるべく出さないように苦労しました。線は細いけど、
女性的じゃないキャラクターということで、零の世界に存在してもいい男性キャラに
なりましたよ。

−−螢はどういう風に関わってくるのでしょう?

柴田:彼はノンフィクション作家で、都市伝説を追っているんですよ。
神隠しの噂を追ううちに、だんだんと関わってくるんです。

菊地:もともと、『零〜zero〜』をテストプレイしているプレイヤーを見ていると、
霊が出たら、怖いからシャッター連打してしまう人がいると聞くんですが、そういう
プレイヤー向けのキャラクターです。

柴田:霊力が1しかたまらないから、とにかく霊をファインダーにとらえたら、撮り
まくるしかないんですよ。

菊地:そうなると、フィルムの枚数がカギになるな。

柴田:フィルムをどんどん使うキャラクターです。しかし、強力な霊はいくら写して
も撃退できないので、"隠れる"ことが重要になってきます。
徘徊している霊がくると、ついたての影なんかに隠れてやり過ごして、アイテムを
とったりするんです。その霊が大切にしているかんざしとか…

菊地:それじゃ、まるで泥棒だよ!

−−彼はキーワードがあるんですか?

柴田:螢だけは外見のキーワードじゃなくて、性能から入ってますからね。
彼のキーワードは「連射」「隠れる」そして「女難の相」です。隠れて探索しながら
も女性の霊ばかりが抱きついてくるんです。

菊地:最後のは性能じゃないだろ!

柴田:家中の女性の霊が寄ってきますからね。ひたすら追いかけてきて「もう、はな
さない…」という恐ろしくもうれしい状況で。

菊地:うれしくねえよ!!

柴田:今回は主人公が3人いるので、クールでアダルトな怜、和風で可愛い深紅、女
難の螢とバランスがとれているのではないかと。

菊地:まあ、女難はどうかと思うが、3人ともキャラクター性もゲーム性も特徴があ
るので、キャラクターごとに新鮮なプレイ感を楽しんでいただけると思います。

−−ありがとうございました。次回は、このゲームの重要な要素である『サウンド』
についてお話を伺います。お疲れさまでした。