その村は、ある祭りの夜に、そこに住む村人とも一夜にして山から消えてしまった。
その日から、村があった場所は、深い霧が立ち籠める暗い森になってしまった。

地図から消えた村について、こんな噂が流れている。

昔、祭りの日に大虐殺が行なわれ、村は地図から消えた。
森にある双子地蔵は、迷い人を村の入り口に誘う。
村の入口の鳥居をくぐると、もう戻れない。
その村は二度と明けない虐殺の夜が続く。
夜の村に恐ろしい女の笑い声が響いている。その村で生き残ったのは、ただ一人の女だけ。
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其の一
【迷いの森〜皆神村】 (0:32)DOWNLOAD:4.20MB

 

皆神村には、いくつかの屋敷が存在する。朽ち果てた家々が、訪問者をずっと待ちつづけている…

村に迷い込んだ澪たちは、
家々が集まる集落へと降りて行く道を下る途中、
ある一軒の家に、白い影が入って行くのを見る。
霧にけぶっているため、
遠くからでは誰かはわからなかったが、
確かに人の姿だった。
その家に近づくと、
中からかすかな物音と明かりが漏れている。
「私たちのほかに、誰かいるのかも…」
二人はその家に入ってみるのだが…
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其の一
【逢坂家/囲炉裏の間】 (0:57)DOWNLOAD:7.60MB

 

村の中ほどにある、中規模の屋敷。
二つの家は、対の構造になっており、双子の家とも呼ばれている。
巫女に選ばれた双子が、禊(みそぎ)に入った折に、この家に住むことから、この名が付いたともいわれている。
宙に浮いた渡り廊下で繋がれているさまは、腰紐で固く結ばれた双子の巫女を思わせる。

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