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 ドリマガ vol.6 8月10日号     20010727  関連画像はこちら


---今現在の作業というのは?
板垣 ゲームの中に入れ込むものは決まっているので、それを全力で作っている最中ですね。それらをひとつに組み上げるまでは至ってないんですけど。というのも、軸になる要素を同時にいくつも開発していて、今までだとだいたい3つくらいだったんですが、今回は10個くらいやっているので、とても忙しいですね。完成度的にはようやく30%くらいまできたところでしょうか。

---「DOA3」における開発テーマをもう一度お聞きしたいのですが。
板垣 おおまかには2つあって、より広い空間を使ったバトルを展開すること、そしてそこでのリアクション性というかインタラクティブ性を極限まで引き出す、そしてそれらを自然に見せていくことですね。

---今回は「DOA3」流に、ちょっとキャラの路線を変えていくというお話しでしたが
板垣 そうですね。たとえばクリスティの瞳とかに表れていますが、単純に写実性を上げるのではなく、洗練していく方向で仕上げてますね。やっぱり僕らはごまかしというのがキライで、リアルタイムの中で、フェイク(ごまかし)なしでこれくらいの水準のキャラが動き、アップになるとこうなるんだよ、というのを表現したいなと。まぁそれを無駄と言う人もいるかもしれませんが、前回お叱りを受けたストーリー的な演出にも磨きをかけているわけで。その中ではアップも出てきますからね。

---モーションにもその洗練さがうかがえますね。
板垣 ええ、今回ももちろんそれぞれの武術の専門の先生からモーションをいただいています。E3のときにヒトミが演武していたのは平安(ピンアン)の四という空手の基本型ですね。実際、会場でご覧になってた海外の方も「ゲームのキャラクターでもやっと本物の動きをするようになった」って言ってたんですよ。多分実際に武術をやっている人でしょうが、そんな人がそう言ってくれるのはやっぱりうれしいですね。

---モーションのみならず髪の動きなどもこれまで以上ですよね。
板垣 髪の毛もひとつのテーマですから。服や帯を動かしていって、次は髪の毛っていうことになると思うんですが、どの水準まで高めるかが大切で。動かせる部位が多くなれば、インタラクティブ性も上がってくるし。ただ、単純に物理計算をしただけじゃ美しい動きにならないんですね。どう動かせば美しくなるか、試行錯誤してますけどね。衣装については「DOA2」でスタンダード化したデザインもありますが、今回ハードが新しくなって、どういうところをパワーアップしていくか、というのをあえて困難な方法でやってます。でも、写真だけだと……動かしてみないと伝えづらいかな。でも昔から遊んでらっしゃる方たちが期待している方向性にはなっていると思いますよ。ただ、殴られると顔がはれあがったりする、とかいうのとは違いますよ。リアリティを求めているんじゃなくて、美しさと迫力があるというのを目指してますから。

---さて、ステージについてですが、今回はさらに大きい気がしますね。落ちるところもたくさんあるようで。

板垣 広い空間でバトルができることが大切で、その中でいろんな演出がある。”落ちる”というのは演出のひとつにしかすぎませんが、要はそこで視覚的快感と、ゲーム性が有機的に絡み合っているわけですよ。以前にも、「滝から落としちゃえ」と言ってて、さてそこからゲームシステム的にどう面白くしていくかを考えていたんですね。演出とシステムって切り離しては語れないものだと思っていますから。

---でも落ちた後のステージもあるってことは、ひとつのステージの中でいくつもステージを作らなくては。
板垣 そうなんですよ。いかにも労多くして益少なしみたいな(笑)。ドンとビジュアルイメージがあって、そこでどう遊んだら楽しいか、ってところから企画を考えているんで。サラっと言ってますけど、けっこう大変なんですよ(笑)。そんな大きいステージばかりじゃえらいことになっちゃうので、半分くらいはそういうコンセプトで作ってますねlもう半分は、以前から言っているような情緒性を大切にしたもの。たとえばこの林ステージのような。昔は、マシンスペック的に、あれだけ木を生えさせることができなくて、いろいろ蛇足的にゲーム的なごまかしを付け加えてステージを作らなきゃいけなかった。でもXboxだと「林ステージ」ってだけででき上がっちゃうんですよ。その中でかけずり回ることができれば楽しいんじゃないかと。そういう感じで作り始めちゃったら最後、これも結構大変で(笑)。ようやく中で遊べるようになりました。楽しいですよ。

---当然アンジュレーションも。
板垣 アンジュレーションってゲームシステムからアプローチされる方が多いけど、僕はどちらかというと美術的な角度から、有機的な表現として発想するんです。林の中にしても、ご都合主義にまっ平らな空間に、木だけがあってもしょうがないじゃないですか。ちゃんと地面を作っておかないと。あと、緊迫の度合が変わったり、追加の戦略性がとれるのであれば、恣意的にアンジュレーションをつける場合もあります。そのあとに、ゲームバランスにかかるところはなんとかしていこうと。

---ゲームシステムとして、まず操作はどのようになるのでしょう。
板垣 システム的には「DOA2」の要素は基本的に入れていき、より遊びやすくなりますね。もちろん1レバー3ボタンで。専用のジョイスティックとかも考えているんですよ。「DOA3」の新しいシステムというのも当然ありますが、それは違う操作に割り当てられますね。

---それもやはりインタラクティブ性につながってくると。
板垣 私が言っているインタラクティブ性とは、たとえば自キャラの動きってアクティブですよね。それに対するリアクション、キャラとキャラの絡みもそうですし、キャラの振る舞いによって、ステージがどう反応するのかっていうのもそう。キャラ単体としての美しさも重要ですけど、彼、彼女たちが引き起こす、さまざまなリアクションのほうが、プレイしてて楽しいんですよね。

---デンジャーシステムなんかも。
板垣 ええ。「DOA1」のときには、マシンパワー的に"爆発”というのが可能なアクションだったわけで。それがよりマシンがパワフルになるほど、きめ細やかな表現が可能になってくるんですね。「2」だと地形効果があったり。「3」
はそういった地形効果もありますし、さらにそれに対してのリアクションがあったりするとより自然になるんじゃないかと。まぁゲーム的に自然じゃないリアクションもありますけどね。

---コンシューマ用を見据えた簡単なホールド操作もやはりある?
板垣 ええ、そちらがベースとなりますね。ただ、アーケードに出しても遜色のないつくりには、もちろんしていますよ。


---御社とKDDIさん、オムロンさんとで通信ゲームのインフラを共同開発されると報じられましたが?
板垣 今まで通信対戦をやらないって言っていたのは、インフラがサービスとしてお客様にお出しするレベルには達してなかったためなんですね。それはひとえに通信での遅延時間によるものですが。それを「やりたい」というお客様に対する積極的なアプローチとして、その障害になる原因を取り除くために、3社で共同開発しているわけです。現段階ではどうにも言えませんが、「やらない」というだけでは、僕も心苦しいですからね。ただ、そのインフラが「DOA3」に対応するかどうかは、まったくの未定です。

---「3」ではストーリーがより楽しめるようになるということですが。
板垣 あとあとになって気付いたんですが、
「1」のほうがストーリーなど周辺の情報が開示されてて、「2」では取説くらいにしかなかった。まぁそのぶんゲーム自体は密度の濃いものに仕上がったと思っていますが、製品の外側の情報があまりにも足りなかったなと。BBSなどでも「わからんわからん」と言われてて。すぐに宗旨変えはしないほうなんですけど、これだけ世界中から「わからん」って言われると、さすがに間違っていたかなぁって(笑)。だから本当に反省しています。今回は世界観って言う部分も、知りたいと思ってる方には、わかりやすくしていきたいですね。

---それはゲーム中で。
板垣 ゲーム中でも表現していくつもりですが、それだけだと足りないんですね。「DOA」の主催者、フェイム・ダグラスだけで取説がいっぱいになっちゃうくらいのボリュームがありますので(笑)。いろいろな方法を考えていますが……、あ、『デンジャーゾーン』が復活するんだから、そちらでもやりましょうよ。

---え?いいんですか。じゃあキャラ編とかいろいろやりましょう!ちなみに、発売日はいつくらいに。
板垣 国内外とも、ハードの発売と同時に出していくつもりです。

---では最後にメッセージを。
板垣 今週これからシアトルのマイクロソフトの本社に行ってミーティングをし、映像や音声の最終的なスペックを決定しようとしてます。それが終われば、また新しい絵をお見せできるんじゃないかと思います。ずっと高みを目指していますので、どこまで登れるか、夏くらいには言えるんじゃないかと思います。

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