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 週刊Dreamcast Magazine 4/27・5/4号(2001-vol.12) 20010413


---「3」という発表にも非常に驚いたのですが、そのハードがXboxだというのも驚きました。まずこの経緯はどのように?
板垣 「3」を作るのはずっと前から決まっていたんですね。で、そのマシン選びは去年の夏ごろからやっていたんですが、どのハードで出すか?というのは、正直全く決めてなかったんです。それで、12月頃にマシン選びも兼ねて、Xboxの開発ツールを使って、「DOA2ハードコア」をXboxに移植してみたんですよ。そうしたら、なんとプログラマ2人で、たった2ヶ月で出来てしまったんですね。まだ音はなりませんでしたが。でもこれって、ピンとこないかもしれませんが、ものすごいことなんですよ。PS2で動いていたものが、Xboxだとより滑らかに動いている。しかも(Xboxの)試作機でですよ。これ、もとがPCだから、(秒感)60フレーム以上で動いてて,「ハードコア」はXbox上で130フレームで動いてた。要するに130÷60=2。1倍の性能は簡単にあるってことですよね。こういうのを見ちゃうと、僕の場合止まらないから(笑)。とにかくXboxに惚れ込んでしまって、「もうこれしかないな」と。単純に移植しただけで、デザイナーが光源もなにもいじってないのに、チラつきも全然なくてとにかく綺麗だったんですよね。ここまで機械に惚れ込んだのは、(アーケード基板の)NAOMI以来かな。


---早くも結構長いデモ映像が用意されていて、こちらもビックリしたんですが。
板垣 今回は3分半ほどの映像だったんですが、僕としてはもう少し長くしたかったんですけどね。とはいえ皆さんには満足していただけたようで、嬉しいですよ。

---ポイントはどのへんにありますか?
板垣 時間的余裕は1ヵ月しかなかったんですが、とにかく今回は、Xboxの実機で動く映像を見せたいと思ったんです。録画したものじゃなくて、リアルタイムで動く映像を(※実際取材班は、このあとXboxの開発機材から出力された状態で「DOA3」のデモを見せてもらったが、確かに実機のデモだった)。今回のデモは「2」とは違って「自然美」とか「情緒」という方に向けてみたんです。「2」は建物とかメカニックとか、構造的な面白さをゲームの面白さと融合してみようとした作品でしたから。まず今回は、美しい自然、情緒をちゃんと押さえようと思ったんです。それで、ステージから作ってみたんですね。ちなみに蛇拳の新キャラが演舞をしているステージは、ちょっと「2」のノリに近いんですが、(ステージの)シチュエーションを生かした形で、なおかつハイパワーでハイクオリティなXboxっぽい映像を作ろうというのをポイントにしてるんですよ。だから、これはそのまま「3」のすべてになるというわけではなくて、僕は「1」の頭からあるエレベーターのステージも好きだし、今回も入れようとは思っているんです。「2」の時は、自然を出そうとおもって、中国の広大なステージを作ってみたんですが、やっぱり人工的な部分が強かったので。単純に自然美を感じるステージから作りたかったんですね。

---1ヵ月で作ったとのことですが?
板垣 うちの美術監督が絵コンテを切ってから、制作期間1ヵ月ということですね。今回はチームを3つに分けて、背景を作るチームはひたすら自然美を追求してつくっていたわけです。で、キャラクターを作るチームは、より実写的にするのか、それともアニメ的な感じを残すのか?を選ぶわけなんですが、当然僕等は後者を選ぶわけで(笑)。それじゃあ、その中でどんな手段でキャラクターの進化を表現するのか?ということなんですが、そのへんはまだ今回のデモには十分入れ切れてないです。ただ、キーワードとなりそうなのが、細やかな表情とか柔らかさですよね。あやねのシーンとかは、それを少しでもわかってもらえるように、いい感じの風を吹かせていたんですけどね(笑)。

---新キャラが酔拳と蛇拳というのは?
板垣 とりあえず、まだ他にも新キャラは入れる予定なんですが、僕らが新作を作る際に必ず考えることは、1つはみんなが知っている拳法にしようということなんです。これは確立されたものへの「挑戦」でして、もう1つは、少しマイナーなものを選びたい。「2」は「空手(アイン)」と「劈掛拳(ひかけん・エレナ)」でしたよね。だから今回は「本物の」酔拳と蛇拳を作ろうと意気込んでますよ。

---「3」の目指すところはズバリどこに?
板垣 「DEAD OR ALIVE 2」は正直、僕の思ったとおりの作品になったんですよ。老若男女、いろんな人に遊んでもらえたという点で、格闘ゲームの持っていた弱点を克服したと思っているんです。だから、その良さをさらに引き伸ばしたいと思ってます。「2」はアメリカでもヨーロッパでも沢山の人に遊んでもらえたんですが、「3」はさらにもっと多く、世界中の人々に感動してもらえるような作品にしたいですね。そのためにキャラクターの魅力をより引き出す演出とゲームシステムにしようと思っています。

---ちなみに、アーケードでの展開は?
板垣 今、Xboxのアーケード基板の話も一応しているんですよ。マイクロソフトもそれに関しては乗り気ですから。NAOMI2も見ましたが、まずはXboxの基板でしょうね。ただし実現するかは未定ですが。

---Xboxの魅力というのはどのへんに?
板垣 非常に作りやすいところです。環境も、(マイクロソフトの)人も、好意的ですし親切ですね。ハードディスクも最初からついてるから、ストレスなく演出やバトルがやれるのがいい。発売後の「エクスパンション」もハードディスクに置けますからね。コスチュームとかいうアイデアも一部で言われてますが(笑)ただ、僕等がXboxを選んだことで、他のハードを持っているファンの方は不服かもしれませんが、僕等も人生の一部を賭けてものを作っていますから、自分達の哲学に合ったものを作り上げたいというのもあるんです。作るからには絶対に良い作品にしたいとおもってますので。これからも注目していて欲しいですね。

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